2010年9月21日火曜日

アートのハノイ?その1

今回のハノイ滞在では、部屋にかける絵をさがそうと決めてました。
なぜ今、絵?かというと、実は、昨年帰国のとき、ハノイで買ってかけていた油絵を1枚、がんばって持って帰ってきた。そして今の部屋にも引き続きかけているんだけど、私はその絵がとっても気に入っていて、部屋に好きな絵があるのっていいものだな~って改めて思うようになった。それで、そのうち部屋を好きな絵でいっぱいにしたいなと思って、ハノイには実は絵が手頃に買えるところがあるので、気に入った絵を見つけようと思ったのだ。

ちなみにその絵は、シルク店の多いHàng Gai通りの洋服屋で買ったものだった。
買った時のいきさつがちょっと面白かった。なぜ洋服屋で油絵?かというと、この店は実は店の奥に刺繍絵を置いていて、しかもお土産物屋によく置いてあるようなステレオタイプな風景画などではない、ちょっと面白い図柄のものをおいていた。刺繍絵の方をプレゼントに一枚買ったこともあって、たまにのぞいていた。(ついでにかわいい犬もいた。)
それである日なんとなくその店を通りかかったとき、実はその店の刺繍絵には、店の奥によく見ると何枚かかかっている油絵と同じ図柄のものがあることに気がついた。聞いてみると、実はその店の女の子(オーナーの娘?)のおじさんで油絵を描く人がいて、その人の絵を元絵にして刺繍絵を作っているんだという。(刺繍絵の図柄はよかったのだが、刺繍そのものの技術はたいしたことなかった)
その中の一枚に、蓮の花の刺繍絵があり、その絵の元になった油絵も店にあった。蓮の花といってもよくある感じのほのぼのした感じのものではなく、雨の中風にあおられて花びらが吹き飛ばされそうになってる蓮の花を中心にした、全面が暗い青っぽい色合いのシックな絵だった。元絵の方は額にも入っておらずキャンバスそのままの無骨な状態で壁にかけられていた。それがなんとなくいいなあと思って、なんとか持って帰れないこともない感じの大きさだったのでその油絵の方の値段を聞いてみたら、元絵のほうは売るつもりはなかったらしく、女の子は絵かきのおじさんに電話して売っていいかどうか聞いた挙句、いくらでなら買う?って感じに逆に聞かれてしまい、う~んそれじゃあ(いくらなら買うんだろう、私。と思いながら、適当に)70ドルで!みたいな感じで交渉して買ったのでした。その程度のものなんだけど、世界に一枚しかない手書きのオリジナルの油絵なのだし、何より生まれて初めて気に入ってほしいと思って買った絵なので、私にとって特別な絵になったのでした。

前置きが長くなったがこの話から何が言いたいかというと、ハノイにはなぜか絵を売ってるところが多いということだ。絵をかく人が多いからなのか、あるいは買う人が多いということだろうか。意外に、音楽家や画家などの芸術家が多いのは事実だ。芸術家はだいたい芸術一家の出であることが多い。ぜったいもうからないだろうと思うのだが、恵まれた家系の人が多いんだろうか。あるいは上流なベトナム人は絵に意外にお金を使うんだろうか。
ただし絵を売ってるところが多いといっても、街の中にたくさんある画廊の9割がたでは、アジア好みの西洋人向けおみやげ的な、ステレオタイプな絵、または名画の模写しか置いてない。でも気をつけて探すとたまーにオリジナリティのある絵を置いてあるところがあるんです。

そういう店の一つとして行ってみたのは、Hàng Trống通りの"White lotus"で、番地を忘れちゃったんだけど、下の記事に書いたブンチャー屋(90番地)の向かいにあるので行ってみてください。
ここは、自転車を題材にした版画ばっかり作っている Trần Công Dũng の版画を主に置いている。(こんな絵です。)この人の絵は、以前文廟の近くの Maison des arts で見たことがあって好きだった(この人、ベトナム語で検索しても全然ヒットしない。ベトナム人の間では知られてない?)。


他にも、作家名がわからないんだけど、↑ 絡み合う電線と木を、夜、下からカラーの照明を当てて撮った写真など、おそらく若い作家のちょっと面白いものがある。若いベトナム人が、ベトナムらしいものを題材にしているのは興味深い。版画や写真などの複製可能なものは小さければ1枚10ドルぐらいからとお手頃だ。


私は希望通り、ちょっと気に入った版画や小さい漆絵を買うことができて目的達成。新しいお気に入りになりそうです。
たまたま今月号のベトナムスケッチでハノイのアート特集だったので、そこに載っていた画廊にも行ってみたのでこれはまたあとで。これから「アートのハノイ」を売りにできる未来は来るか?