教員をしていると、クラスかコースにだいたい一人ぐらい、天使がいる。
教室というのは教員が学生に一方的に教えるものだという考え方は、この業界外の一般世界においては今でも普通もしれない。でも実際には、(教育論の宗旨宗派を問わず、事実として)教室は学生の協力なくしては成り立たない。
しかし、教室には教育活動に協力的な学生だけがいつも集まっているとは限らない。非協力的な学生がいることは織り込み済みで仕事の準備はするものの、その割合が多いときには、教員は孤立無援な思いをするものだ。
そんな中で、教員の意図を汲んで協力しようという学生が、これまでの経験ではどんな場所でもたいがい一人くらいはいる。心の中で、あ、天使、いた、とつぶやいている。
その学生は、単に自分の個人的な好意か志向か気まぐれでそのように振舞っているだけだとわかっている。でも、君は天から遣わされて舞い降りて来たのか!と思いたくなるくらい、教員にとってはありがたい存在だ。1つのクラスの流れにとどまらず、背景にある考え方とか方針まで共感してくれる天使が、いつもいる。立ち上げのときには特に、彼らの共感が支えになる。
今まで出会った天使たちを思い出してみる。みんな元気かなあ。私が拙かったのにわかってくれてありがとう。遠くの空に向かって拝みたくなる。ちなみに、天使たちがみんな成績優秀かというと、そういうわけでもない。
幸い、今の職場にも天使がいた。一人じゃなくて何人かだ。
大学が教会のような神話的な場所に見えてくる瞬間。