2011年9月18日日曜日

ホーチミン日記 20110917

仕事でホーチミン市に来ています。今回は2週間弱の滞在で、HCMにこんなに長く滞在するのは初めて。いろいろ新しいことが多いので日記を書いてみます。
まず気づいたことから。

○言葉がわからない
わからない・・・。近所の屋台のおばちゃんが言ってることが半分ぐらいわからない(涙)。
仕事では北部人も多いし、私の言ってることはわかってもらえるので、なんとかきりぬけられないこともないが。人によってずいぶん違って、かなり北部方言に近い人とそうでない人の差が激しい。庶民的な人ほどわからない。南部の地方から出てきる人たちの発音がわからないのか?
今分かる範囲ではこんな感じ。 
1)1音節レベルで声調(重い声調・尋ねる声調と、上がる声調・折れる声調がだいたい同じにな
って4声調?違う?)。
2) 1)に伴って2音節の声調の組み合わせのcoutourが北部とぜんぜん違う。
例えば"Khổ quá"だと、北部ではkhổの尋ねる声調で一度最低音まで下がってからquáで上昇
    するののだが、こっちでは「上がる+上がる」となる。
3)/v/ /z/は/y/化するが人によって全部する人と一部しかしない人がいるみたい。
つづりRは北部ではザ行音だがこちらでは/r/か、ふるえ音。これもまだつかみきれない。
"tr"はそり舌音。
4)二重母音の音色が違う。"-iê-"は北部でははっきり「イエ」と読むがこっちではe音がとても軽
くて、iの長母音のように聞こえる。"-ươ-"なども同様。これが慣れない。
5)単母音の音色もかなり違う。"a"はより前舌。"ê""i"は激しく中舌化。
6)末子音の区別は、本に書いてある通り、かなり弱くて違いがわからない
全体として、北部方言で意味の弁別に使っているキューが軒並み使えなくてわからない。これに輪をかけて、語彙も、語彙の選択も違う。語彙としては北部でも使う語彙を使っていても、あることを北部とはぜんぜん違う言い方をすることがある。うう・・・。
今回の滞在中の目標としては、2音節の声調の組み合わせのCoutourぐらいはちょっとつかみたい。あと単母音・二重母音の音色もちょっとまねしたい。でも北部では意味を区別するためにはっきり区別して発音するよう心がけていたものを、区別が曖昧になる方向に修正するのはけっこう抵抗を感じる。自分が話せなくてもいいか。せめて聞いてもうちょっとわかりたいものだ。

○北部人が多い
ほんとうに思ったより多い。観光や仕事で短期滞在している人も多いみたいだし、戦中戦後の移住、最近の転勤などで移動してきて、すでに長く住んでいる人も多い。街を歩いていても普通に北部弁が聞こえてくる。今日会った北部出身の知人の話によると、身の回りの50%は北部人じゃないかという(それは多すぎ?)大学の中にも多い。カウンターパートの大学の学長は北部人。路地の中とか地元っぽいところではあまり出会わないけど。政府系とか、ホワイトカラーの仕事をしてる人が多いってことだろうか。北部料理のレストランもたくさんある。

○社会の構造がかなり違う
大雑把な言い方だけど。例えば、ハノイでは、サービス業で働いている人に年配の人はほぼ存在しなくて、ほぼ20代なのだが、こっちでは、ホテルマンやデパートの職員などで40、50代のベテランっぽい人が普通にいる。これは大きな違いだ。たぶん、こっちではサービス業の業種が30年以上前から存在し、ずっと働き続けている人がいるってことじゃないかと思うんだけど、違うかなあ。北部では飲食等以外にサービス業という業種が現れたのはまだ最近だ。

○屋台がいっぱいあって便利
軽食の屋台が多い。ハノイでは田舎から天秤棒を担いだ行商式の奥さんたちが通ってきて広げる露店が多いが、南部のはほんとに転がして運べる屋台の形をした屋台がある。流している屋台もあるが、朝昼晩と同じ場所にいる屋台も多くて、時間によって違う物を売ってたりする。ハノイの場合、行商の奥さんたちは決まった時間しかいなかったり移動して行ったりするので、なかなかつかまらない。
ちょっとした路地には屋台があってすぐに何か食べられる。便利だ。バンコクに似ている。ふつうに美味しい。昨日、到着してすぐ大学に打合せに行って、お腹がすいたので大学の前にいた屋台でタマゴサンドBánh mì trứng(フランスパンに焼きたて卵と野菜やパテなどをはさむ)を作ってもらって食べたんだけど、全く当たり前の味なんだけど改めておいしかった。ベトナムのタマゴサンド大好きなのだ。
昨日の夜、スコールが降って食事に出られなくて、遅くなってからお腹がすいて、宿の脇の路地に入ってみたらうまいこと屋台がいて、Bún thịt nướng(生ビーフンと焼肉の和え麺)と刻んだ果物のシロップがけをお持ち帰りできた。図らずもデザート付きだ。ふつうにおいしい。この路地には朝から晩まで4軒ぐらい屋台が並んでいて、麺もの、炒め物、果物、とうまく分業している。お昼はご飯におかずも出している。すべてお持ち帰り対応だ(これもバンコクに似ている。ハノイではこうでもない)。Bún thịt nướngとか、Bột chiên(これなんだろ?お米の粉を練ってサイコロ型に切った餅っぽいものを鉄板で焼いて卵とじにしたやつ)とか、北にはないものもある。

○街の匂いが違う
料理も甘い味付けが多いこともあってか、ホーチミン市は全体的になんとなく甘い香りがする、ような気がする。ドリアン、ジャスミン、バニラ、これはむしろバンコクに似ているなー。うまく説明できないんだけど・・・。